2016年6月13日月曜日
母語と母国語
私は母国語ではなく、母語という言葉を使っています。この言葉はだんだんと普通に使われるようになってきました。
語学に携わっている方はよくご存じだと思いますが、母国語という言葉は、場合によっては無意味です。
ごくわかりやすい例では、国際結婚の両親の間に生まれた子どもの例があります。その子は国籍を二つもっているかもしれないし、一つかもしれません。最初に覚えた言葉も一つかもしれませんし、二つかもしれません。その言葉はその子の国籍(母国)の言葉かもしれませんし、違うかもしれません。
次に、多くの国で使われている言語のことを考えてみましょう。たとえば、英語が母語である人たちの場合、母国はイギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ、等様々です。
ところで、カナダの公用語は英語とフランス語です。カナダに生まれた人の場合、最初に覚えた方がその人の母語になります。
ベルギーの場合、公用語はオランダ語とフランス語とドイツ語です。もちろん、母語が二つあるのも珍しいことではありません。
インドの公用語は英語です。かつて自分たちを支配していた国の言語を採用したわけです。
その他、両親が移民として他の国に渡った場合があります。母語はおそらく両親の言葉でしょう。しかし、その子は新しい国で教育を受けます。その国がアメリカやヨーロッパだったら、国籍を得ることもできるでしょう。
日本人が中南米に移民した時も、同じことが起こりました。家庭では日本語。外ではスペイン語かポルトガル語。住んでいるのは中南米。
言語は一つの国に属するものではなく、それを話す人たちのもの、というわけです。
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