2016年6月11日土曜日

日本語教師になったわけ 2

ネイティヴの先生

 大学に入った私は、フランス語を学び始めました。

 なぜフランス語かといえば、高校の時に読んだフランス作家の翻訳ものが気に入っていたから、というただそれだけでした。

 最初の一年は、大学で、日本人の先生に、文法を一つ一つ教わりました。入門者用の会話集もありましたが、やはり日本人の先生による授業でした。

 二年目に、当時の東京日仏学院(今はアンスティチュ・フランセというのかな)に週2,3回通い始めました。

 初めての、ネイティヴの先生による、フランス語だけのフランス語の授業でした。

 その先生は、初級者に話させるのが実に上手でした。

 語学の勉強の初級には、何も観念的なものはありません。実際に口を動かす、書いてみる、慣れる、すぐ答えられるよう反射神経を鍛える、と、まるでスポーツのエクササイズみたいな側面があります。

 「身につける」という表現が端的に表しているように。

 その先生の授業はリズムがよくて、楽しくて、生徒はみんな引き込まれてしまいました。

 もう一つ、重要だったのは、日本に住んでいる生徒にとって、先生は、好むと好まざるとにかかわらず、フランス人の代表となっていました。まるで外交使節、でなかったら、フランス語という言語の大使でした。

 家庭教師のバイトなどを通して、教えることの楽しさを発見していた私は、自分も、この先生のように、自国語を教えてみたいと思うようになりました。 

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