2016年7月19日火曜日
子どもの英語の先生は変わっている
私が教えている日本語学校で、とても優秀な卒業生がいます。
彼はカナダの出身で、英語を教えたことがあるというので、子どもの英語のレッスンをお願いしました。
教科書は、私が探してきたオックスフォード出版の子ども用会話の教科書を使っていました。学校で英語の授業があるので、学校の外では、聞くことと話すことをやってもらえないかな、と思って。
先日、「もう教科書全部終わってしまいました。それに、お子さんにはこれでは簡単すぎます。教科書のことについて話し合いたいのですが。」と言われました。
もう一段難しい教科書にするのかな、と思いきや、
「本を一冊読んでもらいましょう。例えば、『黒馬物語』とか。」
もちろん、本を一冊読むのはとても勉強になります。それに、ネイティヴ・スピーカーに授業してもらうんだから、聞くトレーニングもちゃんとできるし。
ただ、『黒馬物語』ねぇ。うちの子、好きかな。
「そうですね。本はどうしても好き嫌いがありますから、他のでもいいですけど。
なぜ『黒馬物語』を薦めるかというと、文章がとてもよく書けているからなんです。」
うん、それはわかります。
日本語を勉強するのも同じことです。
日本語の勉強用に書かれた教科書を読んでいるだけでは、駄目なんです。
勉強中の人にこそ、文章の達人が書いたものを読んでもらいたいと思います。
ブログとか、インターネットに載っている文章だけでも、やはり足りません。
インターネットの文章は玉石混交です。また、文章がうまい人でも、話しかけるような雰囲気を出すために、話し言葉と書き言葉を混ぜていることが多いです。
私「そうそう、原文に注釈が付いた薄い本がいっぱい出てるんだけど。」
先生「薄い本はだめです。それに、注釈が付いてると、変にその単語を意識しちゃうから、何もついてないのにしてください。」
はい。
確かに、初級の段階で、全ての単語を説明してもらうことに慣れすぎてしまうのは、問題があります。中上級になってからも、文章を読むとき、知らない単語に引っかかってしまうんです。
先生「私がカナダの中学校で本を読まされてわかったのは、全部の単語がわからなくてもいいということだったんです。」
さらに、先生はおっしゃるのでした。
「横に辞書をおいて、自分で辞書を引きながら読むくらいの本にしましょう。」
辞書を引くのは大事なこと。
同時に、知らない単語があっても読めることも大事なこと。
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