フランス語の文章はやたらと複雑だ。
同じことを言うならなるべく複雑に言った方がいいと思っているみたい。
論文などを翻訳するとき、つくづくうんざりしたことがある。
英語とフランス語の完全なバイリンガルであるカナダ人の友人がこう言っていた。
同じ内容の論文を書くのでも、フランス語で書くときと英語で書くときとでは全く書き方が違う。
フランス語で書くときは複雑に書かないと馬鹿にされるし、英語で書くときはシンプルに書かないと馬鹿だと思われる。
伝統的には、小説の描写も複雑な言い方を好む。
だから逆に、カミュやデュラスのシンプル極まりない文体が革命だったのだろう。
しかし、諺の世界を覗くと、フランス語は昔からシンプルだ。
ものすごく短い諺ではこんなのがある。
Peu et bon.
主語も無いし、そもそもフランス語の基本的な文としての構造を成していない。
少しで良い。
少しでおいしい。
その方が逆よりいいね、という意味。
Le peu parler est or, le trop parler est boue.
少し話すのは金、話しすぎるのは泥。
Donner un œuf, pour avoir un bœuf.
卵をあげて牛を得る。
卵の œufと牛のbœufが韻を踏んでいる。
もうすぐイースターですね。
こんなかわいい子牛なら、卵みたいに探してみたい。
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