2017年4月29日土曜日

うまい英語表現 - 豹は斑点を変えられない


A leopard cannot change its spots.
豹は斑点を変えられない。

本質は変わらないという意味です。

とってもわかりやすい表現ですね。

She is a born actress. A leopard cannot change its spots.
彼女は生まれながらの女優だ。豹が斑点を変えられないのと同じさ。
(彼女にはほかのことはできない、彼女の女優らしさを変えることはできない)

旧約聖書のエレミヤ書に出てくる言葉です。
古代ギリシャに同じ諺があったとも言います。

虎の縞バージョンもあり、
The tiger cannot change its stripes.
と言います。

肌に染み付いている、というイメージですね。

 

2017年4月13日木曜日

フランスの諺 - 卵をあげて牛を得る



フランス語の文章はやたらと複雑だ。

同じことを言うならなるべく複雑に言った方がいいと思っているみたい。

論文などを翻訳するとき、つくづくうんざりしたことがある。

英語とフランス語の完全なバイリンガルであるカナダ人の友人がこう言っていた。
同じ内容の論文を書くのでも、フランス語で書くときと英語で書くときとでは全く書き方が違う。
フランス語で書くときは複雑に書かないと馬鹿にされるし、英語で書くときはシンプルに書かないと馬鹿だと思われる。

伝統的には、小説の描写も複雑な言い方を好む。

だから逆に、カミュやデュラスのシンプル極まりない文体が革命だったのだろう。

しかし、諺の世界を覗くと、フランス語は昔からシンプルだ。

ものすごく短い諺ではこんなのがある。

Peu et bon.

主語も無いし、そもそもフランス語の基本的な文としての構造を成していない。

少しで良い。
少しでおいしい。
その方が逆よりいいね、という意味。

Le peu parler est or, le trop parler est boue.

少し話すのは金、話しすぎるのは泥。
Donner un œuf, pour avoir un bœuf.

卵をあげて牛を得る。
卵の 
œufと牛のbœufが韻を踏んでいる。

もうすぐイースターですね。

こんなかわいい子牛なら、卵みたいに探してみたい。


2017年4月1日土曜日

フランスのモラリスト、ジョゼフ・ジュベールの名言。想像力とは、技術とは、教えるとは


L'imagination est l'oeil de âme.
想像力とは魂の目である。

ジョゼフ・ジュベールは1754年に生まれ、1824年に亡くなりました。

つまり、フランス革命を生きた人です。

モラリストというのは、人がどうあるべきか、どう生きるべきかを考察し、文章に表す人のこと。

ジュベールの場合、生前は何も出版しませんでしたが、死後、親しかったシャトーブリアンによって日記やメモが本として纏められました。

冒頭に挙げたような短い警句の形式をアフォリズムと言います。
ジュベールは、一行で真実を突いてみせるのが得意でした。

手紙も残されています。
2度も夫を亡くしたために何度も結婚してみんなに責められた女性には、励ましの手紙を送っています。
フランス革命後の混乱で命の危険に曝された貴族をかくまったりもしました。

こんな言葉も残しています。

L'art est de chacher l'art.
技術を隠すのが技術である。

artというのはフランス語でも英語でもそうですが、芸術という意味の他に、技術という意味があります。
人間の技ということです。
この場合は技芸と訳すのがもっとぴったりしているのかもしれません。

例えば、良い俳優は、演じていると人に感じさせないものですよね。

もう一つ。

Enseigner, c'est apprendre deux fois.
教えるとは、再び学ぶことだ。

いい先生だったんだろうな。
こういう先生に教わりたい。